勤勉だからこそ短くなる睡眠時間
意外と怖い睡眠不足
睡眠時間が短い人は要注意です。就寝するのはいつも日が変わってからという人も多いのではないでしょうか。仕事が忙しく、帰宅してから家事をして……となると、結果として睡眠時間が短くなってしまうという人もいるでしょう。日本人は勤勉なので、睡眠時間を削ってでも仕事を優先させるという傾向があります。睡眠不足でも、多少の頭痛程度であれば我慢できるので問題ないだろうと考えている人もいるかと思います。しかし、常態化してしまうと後々重大な健康被害を引き起こす可能性があります。
老廃物が浄化できない
睡眠中は身体の中で老廃物の浄化作業が行われています。この老廃物の浄化作業では体内のリンパが働いています。睡眠不足だとこの浄化作業が上手くいかず、溜まった老廃物によりいずれ身体に異常をきたしてしまう可能性があるのです。また、脳にはリンパが存在しないのですが、脳内の老廃物を浄化する際には脳脊髄液という液体が老廃物を吸収してくれます。この脳脊髄液は睡眠中しか出ないので、睡眠不足が続くと脳の障害を引き起こす可能性が高まります。具体的には、アルツハイマーなどの疾患リスクが高まります。
重大な病のリスク
イギリスで行われた実験によりますと、睡眠不足によりガンや糖尿病のリスクが高くなる事が判明しました。睡眠不足の人は十分な睡眠をとっている人に比べてガンや糖尿病に関連する遺伝子の動きが活発になるそうです。また、睡眠不足により老廃物の浄化が上手くいかず、疲労が溜まる事で高血圧や動脈硬化を引き起こします。その結果として、心臓病のリスクが高まるというデータもあります。平均睡眠時間が5時間以下の人は通常よりも約1.5倍も心臓病を発症するリスクが高いのです。
記憶力や精神面への影響
その日に起きた事など、頭の中の記憶の整理は睡眠中に行われます。睡眠不足だと、この頭の中の整理がきちんと行われる前にデータの上書きがされてしまうので、記憶力の低下に繋がります。もし、昨日の食事が思い出せない、会話の中で何度も同じ事を話してしまうというような症状が出たら、一度ゆっくり睡眠をとってみましょう。また、睡眠不足だと精神のバランスがとれなくなってきます。睡眠不足により扁桃体という不安や緊張などのストレスに反応する脳の組織が活動的になるので、過度にそういった感情が表に出てきてしまいます。
免疫力低下や体重増加
睡眠中は免疫細胞が活発になるので、この時間を十分にとれないとなると身体の中の抗体が十分に生成されず、ウイルスに感染しやすくなってしまいます。また、睡眠不足だとグレリンという食欲を増加させるホルモンが過度に分泌されるため、カロリーの高いものを摂取したくなり、体重が増加します
このように、睡眠不足には多くのデメリットがあります。忙しい人でも、なるべく睡眠時間を確保できるように日頃から工夫し、生活改善ができるようにしましょう。